タイトル

リボンズの単独ライブのフライヤーかわいいでしょ~ と全然お笑いに興味ない昔からのお友達に見せたら「ヘリコプター逆差別撲滅運動、ひとつひとつは意味が分かる言葉なのにつながるとこんなに意味をなくすんだね」と言われ、確かに……的を射ている……と思うと同時に、次の句たちを思い出しました。田島健一という俳人の、『ただならぬぽ』という句集にある俳句です。

音楽噴水いま偶然のこどもたち

白鳥定食いつまでも聲かがやくよ

いちご憲法いちごの幸せな国民 

「音楽」と「噴水」、「白鳥」と「定食」、「いちご」と「憲法」はそれぞれ意味が分かる言葉なのに、つながると意味をなさなくなり、未知のものになります。これらはまだ二つなので辛うじて想像することはできますが、「ヘリコプター」、「逆差別」、「撲滅運動」の三つとなるとお手上げですね。なにもわからない。完全に言葉の上で迷子になってしまう感覚……リボンズの漫才にはこういう意味不明の言葉がけっこう出てきて、それはもしかしたら意味が分からなすぎとか飛躍しすぎとか思われることもあるのかもしれませんが、私の見たいお笑いはこれだなあと思います。

造語といえば、「春組織」もそうですね。「春」も「組織」も知ってるけど、「春組織」は知らない。ただ、どこかにそのような組織がある(というか、旧ドリンクバーのお二人がそうなのかな)とぼんやりわかる。春組織ってこれっぽいな、と思い出した短歌を引用します。 

簡潔に生きる くらげ発電のくらげも最終的には食べて

私の一番好きな歌人笹井宏之の短歌で、『ひとさらい』という歌集で読めます。実際にはくらげで発電はできないらしいんですが電気鰻とかいるし、水の生き物で発電するっていうのはなんとなく想像はできる……けどそのくらげも食べてしまう、歌です。
改名のニュースが駆け巡った日、「春組織」の良さに打たれて動けなくなっていたら一日が終わったのでどうしても触れておきたかったです。春組織になったお二人のさらなるご活躍をお祈りしております。改名についてお話しされている具志堅さんのラジオもすごく良かったので貼ります。 

youtu.be

リボンズの話に戻ります。リボンズの単独ライブのタイトルが変でうれしい。リボンズの自主ライブのタイトルはいつも変で、そして良いからです。

 

まずリボンズ自主ライブの数の異常な多さに触れなくては。 もうライブ主催団体じゃん。好きな芸人が面白い芸人だけを集めてこの頻度でライブをしてくれるというの、ものすごいことだと思うし、本当にありがたいです。私はリボンズ自主ライブで見られる芸人さんたちが心底好きなんですが、共通していることは何だろうって考えたときに、矜持を持っているということでは、と……してほしくないことをしないというか……うまく説明はできないのですが。そういう人たちをちゃんと見抜いてライブに呼んでくれる立山さんの眼識が好きです。

閑話休題。 

youtu.be

リボンズの自主ライブのタイトルは一見テレパシーまさきさんが考えているようでいて、実は立山さんが考えている(曰く、「ウケたらリボンズとしてはプラスだし、スベってもあっちのせいだし」)のですが、2018年の自主ライブを振り返っているラジオでは立山さんが時々「タイトルが良い」と言っていて、本当に良いです。私は去年は「汚職舞妓の歯並び大図鑑」、一昨年は「歯ぐきのいらない子供たち」が特に好きです。歯が好き
タイトルが変なことの何が良いかというと、思い出したときに面白いです。なかよしが初めて呼ばれて、リボンズが好き、信者ですっていうコモリさんに「そんなこと言ってるけど「ツイッターやってるのどっちですか?」とかにわか発言してたじゃん」って立山さんが返してて面白かったのなんてライブだっけ……あ、「四足歩行の人間国宝」だ! ってなったとき、二重に楽しい。
あえて良くない点を挙げるとすれば、「何のライブか全くわからない」というのがあると思います。私もADVANCEがゲストで呼ばれて初めてリボンズの自主ライブに行ったとき、「帰らない宅急便屋さん」って何???? と怖かったです。でも、リボンズの自主ライブのタイトルが変なときは、だいたい面識のないゲストを2~4組呼んで(立山さんが話したこともないゲストに急にDMを送ってオファーするストロングスタイル)仲良くなろうっていうネタとトークのライブです。初対面の人間同士のリアルな距離感が楽しめる、ドキュメンタリー的要素が見どころでした。多くの場合ちゃんと(ゲストがテレパシーまさきさんのあぶない魅力にハマって)仲良くなってましたし。最近はそういうライブは少なくてリボンズライブ常連メンツによる企画ライブか、立山さんの漫談のライブです。

自分で言っておいてですが、何のライブかわからないっていうのはかなり多くのライブがそうですもんね。ウエストランドの井口さんもぐちラジで言ってました(ライブ名 - ウエストランド・井口のぐちラジ! #841 - YouTube)。蓄積があるからわかるだけで。

立山さんは最近ラジオでよく知らない人とライブやるのが楽しいと仰ってるので、今年はまた面識の薄いゲストがリボンズに戸惑う様子が見られるかもしれません。テレパシーまさきさんが内容、ゲスト、会場を決めるライブも始まるみたいだし。テレパシーまさきさんがどんな会場を選ぶのか、楽しみでもあり怖くもあります。タイトルもテレパシーまさきさんが決めるのかなあ。

そして2月に大阪、3月に名古屋、4月に東京で行われる単独ライブ「ヘリコプター逆差別撲滅運動」も、きっと思い出したとき存分ににやにやさせてくれるライブであることでしょう。